【ネタバレ注意】【追記あり】「響け!ユーフォニアム 第二楽章 前編」の感想など その1

こちらでは初めまして。

一応本業はボカロPとしてカバー曲やトクロ動画を上げている(最近は頻度極少)無味Pと申します。

今回は、去年の秋からドハマリしている「響け!ユーフォニアム」シリーズの、
8/26に刊行された小説版の新刊
響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編」
を読んで、気付いた事などをネタバレガッツリ込みで書かせて頂こうと思います。
発売から大分経っているので今更感も満載ですが、他の方があまり書かれてなかった(というか自分が発見できなかった)部分を中心に、自分なりの見方を書ければと思います。
長くなったので2つに分けます。


※2018年3月27日に1項目追加しました。













以下ネタバレです!














  • 加部先輩とつばめちゃんのサブキャラ昇格

めちゃくちゃビックリしました。もしかしたらアニメオリジナルのモブキャラから誰かサブキャラ昇格があるかなとは思ってたんですが、2人とは思いませんでした。
まず加部先輩ですが、元々自分の中では、サブキャラ昇格候補筆頭だったので、宝島社の特設ページのキャラクター紹介に「加部友恵」の文字を見た時は、「おぉぉ!」と普通に声が出てしまいましたww
一方のつばめちゃんは完全にノーマークでした。自分は、サブキャラ昇格があるとすれば、クラの島りえちゃんやボーンの岩田さん、パーカスの大野ちゃん、ホルンの海松先輩などの「パート内で上級生が1人だけ」の人がサブキャラ昇格候補かなと思ってました。特に島りえちゃんは大所帯のクラパでたった一人の上級生なので、話に組み込みやすいんじゃないかと思ってました。が、かすりもしませんでした。武田先生恐るべしです。

まずは釜屋つばめちゃん。高校を卒業してだいぶ時間が経過したオジサンの自分が完全に忘れてた「クラス替え」という行事によって、低音3人とクラスメートになります。
低音3人が引き続き同じクラスなのは、まぁご愛嬌というか、きっと3人とも文系で(久美子や葉月が数学苦手と言ってるので)、選択科目も同じものが多いんでしょう。きっと。
そこへまさかのつばめちゃん合流です。凄く驚きました。小説でもつばめちゃんは1年生次はB編成メンバーになってて、葉月とは交流があるけど、A編成だった久美子とサファイア川島と若干距離があるのがリアル。もしかしたらつばめちゃんは、A編成だった2人に引け目を感じてるのかもしれないですね。
ただ、つばめちゃんの登場シーンは序盤の1見開きでおしまい。読み進めながら「つばめちゃんいつ出てくるんだろう」と思ってたら、最後まで出てきませんでした。キャラクター紹介で名前が挙がったって事は、まさかこれでおしまいって事は無いです・・・よね?後編での活躍に期待しましょう!

そしてこちらは正真正銘がっつりサブキャラに昇格した加部先輩。久美子と共に1年生指導係を務めます。
中盤辺り、加部先輩が居眠りしてて、久美子が加部先輩のノートの中身を見てしまう場面。まぁ、ここで「あぁ、加部先輩はオーディション辞退するんだろうな」と思いました。が、この段階では辞退理由は「1年生に上手い子が居て(小日向夢)、その子がAに入る事に引け目を感じさせない為」とかその辺りかなぁと想像してました。夢が、ペット吹きなのに目立つのが苦手というキャラ設定も、ここで生かす為なのかなぁと。
直後の場面、あくびをした瞬間に痛そうに左頬を抑える所があります。
「虫歯ですか?」
「まぁそんなとこやな」
「ちゃんと歯医者さんに行った方がいいですよ。ほかの病気かもしれないし」
「大丈夫。かかりつけのお医者さんがもういるから」
(一部抜粋)
吹部出身者なら、ここで「あ、顎関節症…」と気付かないといけないのに!あろうことか自分は、この場面を普通に読み流してしまいました!
「なんで急に虫歯の話・・・?」
くらいにしか思わなかった自分の読解力の無さに愕然とします。
その後も久美子は、滝先生に高頻度で面会してるという情報や、オーディション前なのに自分の練習ほとんどしてないという情報を得ます。ここまで来ても自分は
「あぁ、やっぱり加部先輩オーディション辞退するんだ」
以上の事を思わず、久美子ばりにスルーしてました。
で、久美子が加部先輩を問い詰めるシーンで
「あー!顎関節症かぁー!何で気付かなかったんだー!」
と悶絶しました。そうだよなぁ、顎関節症と腱鞘炎は吹奏楽部なら分かって当然だよなぁ、と。
でもこれ、吹部出身者じゃないと結構知られてない事なのかもですよね。この作品を通して、吹奏楽部にも実は職業病ならぬ部活病(野球部で言う野球肘みたいな)があるんだってのを知って頂くいい機会になったんじゃないかと思います。
作品内では常に明るく気丈に振る舞う加部先輩。宝島社の特設ページにあるキャラクター紹介には
「特技:傷ついていないフリ」
とあります。この手の込んだ特大爆弾の仕掛け方が、いかにも武田先生っぽいなとか思っちゃいました。武田先生の作品、ユーフォ以外読んだ事ないのにねww







  • 奏が最終盤で夏紀先輩の呼び名を「中川先輩」から「夏紀先輩」に変えてる


奏は、技量が自分より下であるという理由で夏紀先輩を一切認めていません。吹奏楽部の場合、上手な後輩が下手な先輩を見下すみたいな事って、結構起こりがちです(奏みたいに露骨に表沙汰にする人はそんなに多くないにしても)。
奏は、久美子を「久美子先輩」と呼ぶ一方、夏紀先輩を頑なに「中川先輩」と呼ぶ事で、その意思表示をします。
そんな奏は最終盤、夏紀に怒られ、久美子に諭され、涙を流します。
その場面の最後、
「まったく、夏紀先輩のどこがいい人なんですかね」
って言うんです!2回目に読んだ時にやっと気付きました。またしても読解力の無さを露呈…。
この「呼び名を変える」という行為。中盤で美玲がやりましたね。
美玲はいち早く「自分より長く練習してるけど自分より下手な先輩と同期」との和解の道を、彼女なりに模索した結果、久美子との「みっちゃん問答」に発展した訳です。
この段階では奏はそこまで到達しません。美玲は何も悪くないのに、なぜ変わらないといけなかったのか理解できない。多分これは、技量は自分より劣るけど、人格や人望では申し分ない"中川先輩"に対して、奏が自分に対して言い聞かせてる面もあると思います。
梨々花と奏がじゃれついてるのに久美子が巻き込まれる場面では露骨に出ますよね。「中川先輩は自分より技量が劣るんだから、自分は間違ってない」と自分で自分を追い込む。
でも夏紀先輩の人望の厚さゆえに、あの求さえも"中川先輩"を気に掛けるのを見て、
加部先輩の件で落ち込む葉月を見事に復活させる"中川先輩"を見て、
奏の技量が己より上だと素直に認めて自分に対して教えを乞う"中川先輩"を見て、
奏はどんどん追い込まれていく。
最後、久美子が良かれと思って言った「夏紀先輩と仲良くなって欲しい」「夏紀先輩は良い人だよ」が決定打となってオーディションの場面になる訳です。
で、先輩二人に本音をぶちまけ、涙を流し、夏紀先輩に謝罪し、呼び名を"夏紀先輩"に変える。
素晴らしい流れです。武田先生凄いです。





  • 【追記】呼び名を変える事で人物間の距離の変化を表すのは、実は・・・?

4月5日に「ホントの話」の刊行・21日に「リズと青い鳥」が封切りになるのを前に、原作を最初から読み直していたんですが、ちょっと気付いた事がありました。
この「距離感の変化を呼び名の変更という手段で表現する」という手法、立華編を読んだ方は当然ご存知と思いますが、芹菜が梓に対して取った手段で、立華編の中でもかなりキーになる事柄です。
で、その前に久美子と麗奈があるじゃないかと一瞬思って、「あっ」と思い出しました。
そう、原作1巻では久美子と麗奈は最初から名前で呼び合っています。「入学当初、名字さん付けで呼び合っていて互いに距離があった久美子と麗奈が、大吉山の一件で距離が縮まった事で名前呼び捨てで呼び合うようになる」というのは、アニメ版オリジナルの展開です。
そして、アニメ1期の放映は2015年4月~6月。立華編前編の刊行は2016年8月。アニメ放映当時、原作3巻までと短編集は刊行済みで、その4冊の中には「距離感の変化による呼び名の変更」という表現は用いられていない。
これはつまり、ユーフォに於いて印象的な表現であるこの表現は、実はアニメ版からの逆輸入なんじゃないでしょうか。もしそうなら、アニメ版オリジナルのエピソードに影響を受けて、その後に刊行された立華編と第二楽章に於いてキーになる表現として用いられたという事になります。これって実は結構凄い事なんじゃないでしょうか。










  • Euph1、Tu2、St.B1も一年生が、しかも経験者ばかり入るなんて羨ましい
全国に出るとこういう事起こるんでしょうか。原作1巻やアニメ1期でもありましたが、ユーフォ・チューバ・弦バスはとにかく一年生が集まらないんです。自分も元々パーカス希望で入部したんですが、編成の都合でチューバ担当へ・・・。
因みに、自分の高校ではユーフォはボーンと同じパートだったので、バスパートにユーフォが居るのが未だに違和感。世の中的にはユーフォは低音に入るのが多数派なんでしょうか。





  • 梨子先輩が随所随所で菩薩のような力を発揮

作中でも「菩薩のような」と形容されてますね。問題の解決に直接関わってる訳ではないので薄れがちですが、特に序盤のパート内のピリピリギスギスを、その菩薩のような笑顔と包容力で和らげてくれる梨子先輩は、バスパートにおいて陰の立役者だと強く主張したいです!







その2に続きます。

http://ch.nicovideo.jp/mumip/blomaga/ar1332206#-