【ネタバレ注意】「響け!ユーフォニアム 最終楽章 前編」の感想など その1

ごきげんよう
プライベートでゴタゴタがあって色々バタバタしている無味Pです。

今回は、4/17に刊行された小説版の新刊
響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編」
を読んで、気付いた事などをネタバレガッツリ込みで書かせて頂こうと思います。

気が付けば刊行から1か月以上も経過していました。当然のようにその2・その3に分割致します。果たして後編刊行までに書き終わるのか・・・。若干不安です。




以下ネタバレです!
























  • やっぱり、第二楽章での「コンクールの結果が最重要」みたいな空気は、最終楽章へのながーい伏線だった?
元々響けユーフォニアムは、1巻の段階では続編を想定していなかったと武田先生は仰っていました。アニメ化を機に2・3巻と続編が刊行されたのですが、ここでもまだ2年生以降を執筆するか決めてなかったんだと思います。
ただ、第二楽章を執筆した段階では、少なくとも武田先生の中では3年生編まで書く事を決意していたんじゃないかと思います。そんな中で第二楽章は、優子先輩のリーダーシップもあって、「コンクールの結果が全て」な空気がどんどん濃くなって行っていました。特に関西カラ金に終わった後の展開は、加部先輩の体育館でのシーン以外は

・優子部長が、部内の調和を重視し過ぎた事が"敗因"だと語る
・直後の久美子の「自分たちの努力は報われなかったんだ」と言いながら悔し涙を流す
・コンクール結果重視の最右翼である麗奈のドラムメジャー(事実上の生徒指揮)就任
・部長に指名された久美子が、金賞を獲る為に部長職に集中したいと言って秀一と別れる

等々、「3年生編では『コンクールで良い賞を獲る事が全て』の空気がどんどん先鋭化しますよ」という予告と解釈できるシーンが沢山ありました。
自分としては、これは間違いなく3年生編への布石あるいは伏線だろうと思っていましたし、武田先生の事だから、先鋭化していく事での揉め事が起こって、そしてその中心は、コンクール結果重視の最右翼である麗奈じゃないかなと想像していました。
概ねそんな感じにはなりましたが、麗奈との対立軸は緑輝だと思っていたので、そこは大外しでした…。そして、「コンクール結果重視」に反発する部員が現れる所までは想像していましたが、さらに進んで滝先生の指導・方針そのものに部員側から不穏な目が向けられる所まで行くのは想像していませんでした。
因みに、第二楽章までは本文中(つまり久美子の心中)に表れる事の無かった言葉が、コンクールの曲決めの際に出てきます。
いい演奏とはいったい何か。答えはまだ、見つかっていない。
シリーズ最終巻となる後編で、久美子なりの・北宇治高校吹奏楽部なりの答えを出す事ができるでしょうか。






  • ほぼ全編を通して伏線張りのみで前編が終了
武田先生ご自身も、ツイッター
新刊の前編は楽しくなってたくさん種蒔きしちゃったんですが、その分、後編がすごいことになってます
と仰っています。
過去のユーフォシリーズでは、1年生編である2巻・2年生編である第二楽章前編、どちらも物語の序章の巻ですが、中盤あるいは終盤で何かの大きなトピックとその解決がありました。2巻で言えば、希美先輩とみぞれ先輩の鉢合わせからの(元の木阿弥になる形での)和解。第二楽章前編で言えば、オーディションでの奏・夏紀先輩・久美子の場面。
ところが、今作では何か起こりそうで起こりません。「これは伏線だろうなぁ」という出来事がいくつも起こって、それが爆発しないまま後半へ続きました。例えば立華編なども、前編ではそこまでの重大インシデントは起こらずに、後半で一気に噴出したりはしましたが、あれは"前編で種蒔きして後半で怒涛"という感じとは少し違ったように思います。
恐らく、今まではある程度新規に読む人が単巻でも楽しめるように各巻ごとに山場を作っていたのを、「最終楽章まで読んでくれている人は既刊本も読んでいる」という前提に基づいて、前半に大きな山場を作る必要が無く、だったら"前編で種蒔きして後半で怒涛"をやろうと武田先生が判断したのではと思います。
読み手としては、いつ爆発するか分からない時限爆弾が次々と仕掛けられていき、最後まで大爆発する事なく後半へ続いた感じでした。
読む前は「あぁ、この後編が刊行されたら、今度こそ響けユーフォニアムという物語が終わりを迎えてしまうのだな」と思えて、後編が刊行されるのが寂しい、まだ終わって欲しくないという気持ちがありましたが、前編を読み終える頃には「おいおい!これどうなるんだよ!早く続きが読みたい!」と思っている自分がいました。武田先生の小説家としての力量が益々高くなっている事に感服するしかありません。






  • プロローグは、良く読むと一人称が誰なのか明記されていない
これは読んだ方は結構な人数引っ掛かった所だと思います。自分は初見時には何の疑いも無く滝先生の話だと思ってましたが、確かに良く読むと誰の話なのかが明記されてないんですよね。恐らく久美子が北宇治の顧問になって3年目の話なのかなとは思いますが、あるいは裏の裏で滝先生視点なのか。滝先生と久美子が全く同じシチュエーションを経験したとも考えられます。ウルトラCは、久美子以外の部員(葉月・秀一・美玲・さつき・佳穂等)や、まさかの梨香子先生なんて可能性も・・・、いやさすがにそれは無いですかねww







  • 前編の空気を皮肉るようにプロローグに表れた「音を楽しめ!」というスローガン
先述の通り、最終楽章前編は全体を通して「コンクールの結果が全て」の空気が先鋭化していきます。記憶が曖昧ですが、確か過去に麗奈が「音楽を楽しむっていう意味が良く分からない(あるいは、自分には音楽を楽しむという感覚が無い)」というようなニュアンスの事を言っていた記憶があります。そんな麗奈が生徒指揮を務めている訳ですから、「音を楽しめ!」なんていうスローガンは皮肉でさえあります。そう考えると、やはりこの場面は滝先生の話ではないのでしょうか?






  • ホルンの森本さんが、この巻では名前すら出ず・・・
アンコン編で驚きのサブキャラ昇格を果たしたホルンの森本さんですが、この巻では名前すら出ませんでした。つばめがアンコン編に引き続き、本筋に絡んでくる主要キャラになっていき、その絡みで順菜ちゃんも良く名前が出るのとは対照的で・・・。後編では、せめて名前だけでも!





  • 一昨年全国銅・去年関西金の学校で、低音に入る新1年生が全員初心者・・・
自分は強豪校出身ではないのでその内情は分からないのですが、いくら公立とはいえ、低音に入る新1年生が全員初心者というのは、ちょっと切ない気持ちになりますね・・・。「北宇治でチューバ吹きたい!ユーフォ吹きたい!」みたいな中学生が現れなかったのでしょうか?
それから、これは余談ですが、北宇治って低音の男子率低いですよね。低音ってどの学校も男子率が上がる傾向にあるのですが、久美子が1年生の時には後藤先輩のみ。3年生の時には求君のみ。特にチューバが5人居るのに、全員が女子というのは、なかなか珍しいんじゃないでしょうか?



  • 佳穂の自己紹介でニヤニヤできる
佳穂が自己紹介の時に
「やったことのある楽器は鍵盤ハーモニカとリコーダーです」
と言った自分の中でガッチリ刺さりました。
初心者部員の「鍵盤ハーモニカとリコーダーぐらいしかやったことなくて・・・」はもはや常套句です。細かい所にもあるあるネタを仕込む武田先生さすがです。








  • 幹部ノートに表れる3人の考えの違いが、作品内のピリピリした空気を増幅させる

アンコン編の感想ブログでは「この3人は部活運営では揉めないだろうが、音楽の方向性で揉めるかもしれない」といった事を書きました。が、良く考えれば、どういう音楽を良しとするかによって部活運営に対する考えも変わる訳で、3人も音楽観が違っている時点で、部活運営についても齟齬が生まれるのは当たり前なんですよね。ちょっと浅はかでした。
まず第一章冒頭の幹部ノートで先制パンチをお見舞いされます。

目指せ、部員百人!(塚本)
多けりゃいいってもんでもないでしょ。(高坂)

この場面ではまだ「麗奈の尻に敷かれる秀一」という構図に見えて、微笑ましく感じてたんですが、後の展開を考えると、割とこの亀裂って危ういように感じています。

第二章では、「全国金賞の為に行動できない部員をフォローする必要があるのか」と言い出す麗奈に、久美子は「脱落者を出したくない」と言い出します。詳しい引用は後述するとして、ここでも、より先鋭化する麗奈と、部長として部員を繋ぎとめたい久美子の考えの差が現れます。

第三章になると、部内の張りつめた空気を感じている秀一が弱音を吐きます。

後輩に注意するのも嫌やし、できることなら和気あいあいとただ楽しく過ごしたいとか、たまに思う。もちろん、そんな気持ちで全国なんて行けへんから、気を引き締めてはいるけど。

アホでしょ。そんなんだから仏の副部長とか言って舐められるねん。(高坂)

自分が秀一の立場だったら、恐らく同じ気持ちになってたかなと思いますが、ともあれこの辺では既に、秀一と麗奈の部活に対する考えの違いが鮮明になっています。それはそのまま、部員たちの部活動に対する考えの差にもなっています。
幹部3人だって、吹奏楽やコンクールに対する考えが違うのは当然と言えば当然なんですが、これが"対立"の様相を呈するようになると部活動が上手く機能しなくなってしまいます。後編では、この3人の考えの違いは少なからず火種になるのは間違いないと思います。







  • すずめがサンフェスでのつばめの処遇に不満を示す場面は、これから部内で起こる揉め事のサンプルとして機能しているか

すずめは久美子に、サンフェスで姉のつばめがカラーガードである事に不満をぶつけます。

「お姉ちゃん、どうして旗係なんですか。二年生がスネアとかバスドラとかマルチタムとか担当してるのに、三年生のお姉ちゃんが楽器を担当しないっておかしくないですか?」
「えっと、それはつばめちゃんが不満を言っていたのかな?」
「そうじゃなくて、単純におかしくないですか?お姉ちゃん、パーカッション好きなのに!」

パーカスの楽器名を正確に言えるのに、カラーガードを"旗係"と言ってしまうのは何なんだろう・・・、という疑問点はさて置きww
その後もすずめは、「きっとパートリーダーに鍵盤を押し付けられてるんだ」「マーチングの楽器が少ないから遠慮してカラーガードになったんだ」「お姉ちゃんは勤勉で努力家で、最後の年にその努力を見て貰えないなんてかわいそうだ」と久美子に訴え続けます。
結局久美子と、偶然通りかかったつばめの必死の説得で、ようやくつばめが自ら進んでカラーガードになった事・順菜ちゃんがつばめの適性を見抜いて鍵盤を担当させている事をすずめは理解しました。
これ自体は、単に「姉を思うが故の妹の暴走」という、ある種微笑ましいエピソードです。
が、これって実は

「学年も努力量も勤勉さも関係なく、実力のある者が然るべき演奏機会を得る事が出来る」というような、今までの北宇治に於いて正義・正解とされてきた考え方にメスを入れていきますよ。

という、今後の展開へのサンプルとしてのエピソードなんじゃないかと思うのです。前編は全体を通してその兆候があちこちにあります。という事は、後編では「滝先生が顧問になってからの北宇治で絶対的に正しいとされていた事・考え・人物」に武田先生が切り込んでいくのは間違いないと思います。果たしてどの部分にどのくらい切りかかるのか。どのような解決をみるのか。後編は、武田先生の作家としての手腕が問われると思います。





  • 沙里の件は、解決しているようで、実は根本のところが解決していないように見える

序盤の、新一年生3人が低音パートに入る場面。沙里は久美子に以下のように告げます。

「なんか、北宇治って強いから先輩たちもすっごく怖いのかなって心配してたんですけど、久美子先輩みたいな優しい部長さんで安心しました」
久美子は軽く胸を張ると、沙里へと微笑みかけた。
「大丈夫だよ。絶対に楽しい高校生活になるから」
この後、沙里が疲労"等"で部活を休んでしまう事を逆説的に示唆しています。
サンフェス前には、すずめと一緒に朝練をしている様子が描かれています。すずめは上達が非常に早く、しかもすずめは自身の上達に喜びと楽しさを覚えて、ますます上手になる。という好循環に入っています。
一方、沙里は朝練をする理由をこう言っています。
クラリネットって上手な人が多いんで、足を引っ張りたくなくて」
直後にすすめが「そんなに上手なのに足を引っ張るなんてありえない」と反論しますが、当の本人は真面目にそう思っています。この段階で沙里が"北宇治が目指すもの"あるいは"沙里自身が作り出したクラの演奏技量の基準"に追い立てられ始めているのが分かります。
その後も、沙里とすずめが朝練をする場面が描かれるのですが、沙里は「足を引っ張りたくない」ばかりを口にします。
二章では、沙里が精神的に追い込まれていく様子が現れ始めます。沙里は、久美子に早く練習に来る理由を聞きます。
「多分、部活が好きなの。私も麗奈も」
「先輩は、部活が楽しいですか」
「楽しいなって思ってるけど、サリーちゃんは違う?」
「私は、」
口を開き、しかし続きは出てこなかった。
(一部抜粋)
そして、沙里が明らかに麗奈に怖気づいている様子が描かれます。ここから、沙里を麗奈の元に一人残してすずめが久美子に「今の一年生がボイコットするかも」という話になっていくのですが、そこはコンクール至上主義先鋭化の話・カリスマ性の話・久美子の部長としての負担の話など複数の話題に繋がるので後程。
ここの場面では、久美子にとって楽しい・充実していると感じられる部活動の運営方針が、沙里にとってそうは感じられていないという事がはっきりします。久美子は「部活が楽しくないなら相談して」と沙里に言いますが、麗奈と仲がいい久美子にはなかなか言い出しにくい様子です。
そしてついに1年生仲良し4人は集団で部活を休んでしまい、梨々花の先導で、葉月と久美子は沙里の家に見舞いに行きます。低音パート直属の後輩3人に関わる事かもしれないのに、行くのを渋る葉月もどうかと思いますが、沙里の家で出会った佳穂への問いかけが、無意識に詰問調になってしまう久美子も久美子です。
で、久美子の申し出で沙里と二人きりで話をする場面、沙里は思い切って「麗奈が苦手で、人が怒られている所、特に友人の佳穂が怒られているのを見ると辛い」と告白します。
「高坂先輩に不満があるわけじゃないんです。」
「でも、つい思ってしまうんです。全員に厳しくする必要って、本当にあるのかなって」
「コンクールのAメンバーは五十五人。だったら、百三人全員を完璧な奏者に仕上げる必要はないんじゃないですか。佳穂だって、いまはああして笑っているけど、サンフェスの練習が始まってすぐは裏でよく泣いてました。成長するまでどうして待ってあげられないんだろう。北宇治は人数的には余裕があるのに、どうして音楽の楽しさを知る前に足を引っ張るなって怒られなきゃいけないんだろうって、そう思ったんです。ゼロをプラスにする努力は楽しいけれど、マイナスをゼロにしろと怒られるのはちっとも楽しくないじゃないですか」
(一部抜粋)
そして、「高坂先輩が正しいのは分かるから、泣いてる子を励ましてきて、最近やっと『楽しい』って言ってくれるようになったけど、それは自己満足なんじゃないかと怖くなる。部活のためにみんなが色んなものを犠牲にしていて、他人が辛い目に遭っているのを見るのが辛い」と打ち明けます。
それに対し久美子は、奏の時のように「頑張りを認める」という方向に持って行きます。
「犠牲なんてないって言ったら嘘になるよ。」
「でも、得るものも多いんじゃない?さっきサリーちゃんも言ってたでしょう、部活が楽しいって言ってくれるようになった子もいたって」
「続けていたらみんな初心者じゃなくなる。佳穂ちゃんたちだって、今年のコンクールではAメンバーになってるかもしれない」
「ありがとうサリーちゃん。いままで頑張ってくれて。サリーちゃんのおかげで百三人、全員いるよ。一年生だって、まだ一人も抜けてない」
沙里の瞳が光でにじむ。刺さった、と久美子は心のなかで確信した。
彼女が本当に欲しているものは、自信のこれまでの行動に対する報酬だ。彼女はきっと感謝されたい。人知れず周囲を支えてきた自分の努力を、誰かに認めてもらいたい。
奏の時に「奏の頑張りをストレートに認める」という事で彼女の心を開いた経験が久美子にあるので、沙里に対しても「努力を認め、それによって退部者が出ていないという事をストレートに感謝する」という手法を使います。
そして
「サリーちゃんがいれば、北宇治はもっとよくなるよ」
と言い切ることで、彼女の重荷を下ろそうとします。「ありがとうございます」という言葉と、彼女の様子を見て、久美子は「もう大丈夫だ」と確信します。
次の日、沙里はいつものようにすずめと共に朝練に現れます。またしても沙里を麗奈の元に一人残して久美子を連れ出します。そして「沙里は共感性が高すぎるうえに、『あなたは悪くない』と同級生が言っても聞いてくれないので、部長である久美子が言ってくれた事で安定するようになった」と礼を言われます。久美子は「すずめのてのひらの上で踊らされてただけか」と嘆息しつつも、すずめの沙里を思う気持ちに感謝をします。
物語的には、ここで沙里の件は丸く収まって無事解決。という所なんですが、個人的には、この問題って根本の所が解決してるのかがちょっと疑問です。
久美子は「麗奈は言い方がキツい時があるから、そこは改善して欲しいけど」とは言うものの、それを麗奈に進言している様子がありません。しかも、今年から大会毎にオーディションをやる事になったので、部員達は常に追い立てられる状態にあるとも言えます(詳しくは後述します)。「他人が怒られてる様子を見てるのが辛い」と言う沙里の根本の部分、つまり、沙里がそう思ってしまう本人の心情だったり、部員たちがガミガミ言われている状況は変わっていません。安心して音楽に取り組める状況にあるのか若干疑問です。実際、沙里は物語上では言動に変化がありません。「もう大丈夫」という情報をもたらしたのも、沙里本人ではなくすずめでした。
ただ、じゃあ後編で沙里の件が爆発するかと言われると自信がないです。久美子の言う通り、初心者も経験を積んでいき、いずれはフォローが要らなくなります(ただ、1年後にはまた新入部員が入ってくる訳ですが…)。そして、本人の中での「退部を引き留めるのは、ただの自己満足なんじゃないか」という不安要素に関しては、そうして引き留めた部員たちが最近ようやく部活を楽しいと言ってくれるようになったという事実と、久美子が「それは自己満足なんかではないよ」と沙里に直接伝えた事である程度解消したはずです。
なので、沙里が後編でどのような動きをするのかが非常に気になります。





  • 前編全体で、久美子の視野の中に佳穂が入る場面が少ない(物語内での登場回数が少ない)のがとても気になる
久美子は部長としてやる事があまりに多く、ちょっと抱え込み過ぎている節があります。もう少し他の3年生も頼って良いと思うのですが…。例えば部内の人間関係の調整や悩み相談などは、もっとパートの3年生に担わせてもいいと思っています。
ともあれ、そういう部長の仕事の忙しさもあって、1・2年生の時に比べて低音パートに居る時間が減っています。そんな中でとにかく気になるのは、佳穂の登場回数と、久美子と佳穂の会話の頻度が余りにも少ない事です。奏とは相変わらず丁々発止のやり取りをしているのと比べても明らかに佳穂との距離が遠いです。
これは、真由の存在が久美子の中で悪い意味で大きくなっているという事も大きく関係しています。真由の事が思考の大きな部分を占めてしまっているので、久美子の中で佳穂の存在が薄れてしまっているのだと思います。
嫌な言い方をすれば、佳穂は初心者なので真由のように自分の居場所を脅かす事もなければ、奏のようにAメンバーとして"戦力"として見込める存在でもありません。沙里を見舞った帰りに、梨々花と葉月はこんな事を言っています。
「久美子先輩って才能がある子が好きですもんね」
「そら北宇治におったら全員そうなるやろ、久美子だけじゃなく。」
「下手な子が優遇されるより健全ですしね」
「やろ?久美子は部長やから、とくにそういう傾向になるんはしゃあないとうちは思うで?」
(一部抜粋)
そういえば、サンフェスの練習で佳穂が麗奈に泣かされてた時にフォローをしていたのは真由でした。物語的にも、低音1年生3人の中で特に積極性があるのがすずめだからというのもありますが、A編成入りを果たしたすずめに比べて、B編成の佳穂と弥生が久美子と絡むシーンが極端に少ないです。特に佳穂は同じ楽器の後輩なのに・・・。この辺、もしかして後編へのカギになったりするのでしょうか。それこそ、佳穂が部活を辞めると言い出す可能性もあったりしますが・・・。






ここで一区切りします。
"その2"に続きます。なんとか後編の刊行前に書き終わりたいですが・・・。